本法案は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」および「次世代育成支援対策推進法」を改正し、育児や介護を行う労働者に対する支援を強化するものである。
特に、育児・介護休業の取得対象を拡大し、柔軟な働き方を実現する制度を整備するとともに、個別の労働者のニーズに応じた意向聴取を義務付ける。
さらに、企業が育児休業制度の利用状況を把握し公表することで、職場全体での取り組みを促進する仕組みを導入する。
また、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定時に数値目標を設定し、具体的な成果を求める内容が含まれている。
これらにより、男女問わず誰もが育児や介護をしながら働き続けられる社会を目指す。
現代社会では、育児や介護を理由に働き方に制約が生じたり、労働市場から離脱するケースが少なくない。
その背景には、企業内での制度利用が進んでいない現状や、労働者個人のニーズが十分に考慮されていないことが挙げられる。
本法案は、柔軟な働き方を可能にするための休暇・制度の充実や、企業における育児休業制度の透明性向上、そして次世代育成支援対策推進法の継続による長期的な政策展開を目指している。
これにより、働く人々が安心して仕事と育児・介護を両立できる社会を実現し、労働力不足や社会的な不平等を解消することを目的としている。
1. 「子の看護等休暇」の拡充
これまで「子の看護休暇」として対象を限定していた休暇制度を「子の看護等休暇」に改め、小学校3年生修了前の子どもを持つ労働者が、病気の看護だけでなく、教育や保育に関わる行事への参加も休暇対象とする。
これにより、子どもの成長に伴う多様なニーズに対応する。
2. 個別の労働者への意向聴取と周知の義務化
事業主に対し、労働者の意向を聴取することを義務付け、特に育児や介護に関するニーズに対応できる制度の提供を推進する。
また、これらの制度を労働者に周知する責任を明確化し、利用促進を図る。
3. 育児休業制度利用状況の把握と公表の義務化
企業に対して育児休業の利用状況を定期的に把握し、これを公表する義務を課す。
これにより、制度利用が職場文化として浸透しやすくなるだけでなく、利用実績が可視化され、他の労働者も安心して利用できる環境が整う。
4. 次世代育成支援対策推進法における具体的目標設定
行動計画策定時、育児休業取得率や労働時間の削減など数値目標を設定し、計画の進捗状況を定量的に管理できる仕組みを導入する。
これにより、企業や行政による具体的な取り組みが強化される。
5. 法案の有効期限延長
次世代育成支援対策推進法の期限を10年間延長することで、育児・介護支援に関する政策が中長期的に継続されるようにする。
全会一致